ウェブサイトの配色(色づかい)が、サイトのコンバージョンに大きな影響を与えることをご存じでしょうか?
サイトで使用している色によって、閲覧者が商品やサービスをどう認識するかが変わってくると言っても過言ではありません。
色を変えることによって、特別なムードを引き出したり、購買意欲を高めたり、使い方次第では逆に減らしてしまったりといった効果をもたらします。
以前、サイトの背景色を暖色系と寒色系で比較テストを行った事がありますが、暖色系の方が1.7倍ほどコンバージョン率が良かった事例もあります。
今回は、アメリカのマーケティングニュースサイト「ClickZ」で紹介された記事を元に、ユーザーの購買意欲を高める効果的な色づかいについて、いくつかのヒントをご紹介します。
色が持つパワーとは?
サイトのコンバージョンを最適化することを考える際には、「人間の意思決定の大半が潜在意識のレベルで行われている」ということをよく理解しておく必要があります。
色はサイト訪問者の潜在意識を活用するツールの一つであり、色が人の行動にどう影響を与えているかという研究と、消費者の嗜好や行動を左右するために色をどう活用できるかというマーケティング研究は長年続けられています。
しかし、アメリカでは、多くの人々から特定の感情を引き出すことができる「色の原則」があるとされています。
<色がもたらすイメージの例>
イエロー | 楽観、暖かさ、幸福を反映。一方で、警告メッセージを伝えるときにも使われることが多く、不安を掻き立てる色としても使われる。 |
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オレンジ | フレンドリーさをアピールすることができ、楽しさを表現する色と考えられている。自信を刺激するほか、緊急性を示唆する色とも言われる。 |
レッド | 興奮と大胆さを伝える色で、販売宣伝のために使われることが多い。 |
パープル | クリエイティビティ、洗練さ、知性を示す。 |
ブルー | 平和、静けさ、忠誠、信頼性を伝える色。企業サイトで多く使われている色の一つ。 |
グリーン | 平和であり、成長と自然のシンボル。アウトドア商品や環境に配慮した品質をアピールするときに用いられることが多い。 |
ブラック | 価値、豪華さやパワーを示す。高品質で特別感のある商品に用いられる。 |
ただし、多国籍のお客さんをターゲットにしている場合は、地域によって色のニュアンスが異なることを理解しておくべきです。
例えば、中国の場合、白は葬式で用いられる色なので、結婚式や清純さといったイメージと同じように捉えてもらえない可能性が高いです。
また、性別によっても色の好みも分かれます。男女共通して好まれるのはブルーです。
女性の場合は原色や色合いを好みますが、アースカラーのような色に抵抗を持っている人も少なくありません。
男性は紫、オレンジ、ブラウンといった色を避ける人も多いようです。
色はどのように行動と購入習慣に影響をあたえるのか
ここでは、サイト訪問者の購買意欲についての研究結果をいくつかご紹介いたします。
オークションサイトならブルーよりレッドが有効
オークションサイトの場合はレッドのほうが購買意欲が高まり、商品を容易に購入できるサイト(通常のECサイトなど)はブルーのほうが有効だという研究結果が出ました。
レッドは攻撃性を誘発するのでオークションで高い入札をさせるときには効果的ですが、定価など決まった価格で購入させる場合はブルーの背景の方が購入可能性が高まりました。
衝動買いに効果をもたらす色はオレンジと黒
予算を決めて買い物をする人はブルーやグリーンに引きつけられ、衝動買いをする人はオレンジと黒に反応し、そのどちらでもない一般的な買い物客はブルーやレッドに影響を受けます。
即購入させるのに効果的なのは寒色系
定期的にインターネットを利用する人に対しては、ブルーをはじめとした寒色系の背景が購入延期を防ぐのに効果的だと結論づけました。
購入率の高さと相関関係があるのはブルーやグリーン
2004年には、ECサイトでの購入率の高さと相関関係が高い色はブルーやグリーンであるとする研究結果も発表されました。
一方で、知識伝達を促す情報ページやニュースサイトの場合は、白や無彩色の背景に黒いテキストで表示するのが最も効果的という結果も出ています。
コンバージョンを改善するために適切に色を使うための3つのポイント
サイト訪問者の注目を集めることは、コンバージョン率を高めることに繋がります。
「見るからに変わったもののほうが記憶に残りやすい」という心理現象としてしられる「レストルフ現象」を活用するために、ここではコンバージョンを向上させるための色の使い方のポイントを3つご紹介します。
行動喚起させるには明るい色がベスト
CTA(Call to Action、行動喚起)には明るい色を使うのがベストとされています。
中でも、レッド、グリーン、オレンジ、イエローが代表的な色です。
ただし、サイト全体でそのような色を使っている場合はあまり効果がありません。
サイト内であまり使われていない時のみ有効とされています。
明るい色と暗い色のコントラストを上手く使う
ブラックやグレー、濃いパープル、ブラウンといった色はコンバージョン率を下げる傾向が高いです。
しかし、明るい色のボタンで行動喚起させるために、他のボタンにはわざと濃い色をチョイスしてみるというのは効果的です。
例えば「Amazon」の場合も「カートに入れる」ボタンはオレンジ(イエロー)を使っていますが、それ以外のボタンにはグレーを用いています。
色をたくさん使うのはNG
色が多すぎると、混乱と麻痺を生じさせます。
すべてが目立つようにサイト設計してあると、結局何も目立ちません。コントラストが重要です。
コンバージョンを高めるということは、サイトをカラフルに美しく見せるということと同義ではないということを覚えておきましょう。
あなたのサイトにとって最適な色を選ぶ際の3つヒント
サイトにとって最適な色を選ぶためには、下記の3つを念頭に置くことが大切です。
商品やサービスを効果的に見せる色を選ぶ
例えば、生命保険を販売するサイトなのにピンクやイエローのウェブサイトだと、不適切に見えますよね。訪問者にショックやサプライズを与えるような色づかいやクリエイティブは避け、どういった色があなたの商品やサービスを効果的に見せるのかを考えましょう。
サイト(会社・サービス・商品)の個性と雰囲気を演出する色を選ぶ
ECサイトであれば、高級感を演出したいのか、お手頃感なのか、激安感なのかによって色の選び方も変わってきます。サイトの方向性にもとづいて色を選択しましょう。
ターゲットに合わせた色を選ぶ
色彩心理学にもとづいて、顧客(ターゲット)の特性(性別、ロケーションなど)にあわせて、何色が最もアピールしやすいかを知りましょう。
もし、十分にトラフィックがあるサイトであれば、仮設を立てて明るい色と暗い色のコンビネーションをいくつか試してみて、最も適したものを見つけるのも効果的です。
コンバージョンが伸びないと悩んでいるサイト運営者の方、背景色を変更するだけの簡単な変更でも、思いのほかコンバージョン率が上がるかもしれませんので、是非サイトの色を一度見なおしてみてはいかがでしょうか?
出典:Increase Your Site Conversions With the Right Color
http://www.clickz.com/clickz/column/2354049/increase-your-site-conversions-with-the-right-color
コンサルタント紹介:Hiroshi Yamanaka
ネットショップのユーザビリティや導線の設計を手掛けるデザイナー兼コンサルタント。
最近はUSPの構築など戦略全体から手掛ける事も増えているため、
クライアントの価値観や物事の本質を見極めることを心掛けている。