とても特色のある街ってありますよね。
個性的でハイセンスな若者の街下北沢、マニアックな趣味を突き詰めた人達が集まる中野、萌えとデジタルの秋葉原などなど・・。
どれも集まる人達の好む店舗が並び、ニーズに合った商品が販売されています。
これは商売において基本といえば基本なのですが、お店に来ているユーザー層から商品や店の雰囲気をそれに合わせて展開しているわけです。
ECサイト運営においてこれができていない場合が往々にしてあります。
実際、自社のECサイトに実際に来店している層を正確に把握できているでしょうか。
店主が販売したいと思っている層や店側が売れていると思っている層が実際の来店層とは違っていた場合、当然商品の売れ行きが伸びるわけはありません。
特にECサイトにおいては実際に購入しているお客様の顔が見えず、購入した際の情報も断片的なものしか手に入らないためそのような食い違いが起きる可能性が高くなってしまいます。
だからこそあらゆる角度から自社のECサイトに来店しているのがどのような層なのかを敏感に感じ取って適切な販売戦略をとる必要があるのです。
とは言うものの、実際にどのようにしてそれを把握すればいいかが問題となります。
女性向けアパレルのECサイトでの話
とある女性向けアパレルのECサイトの話です。
そのECサイトではモバイル(ケータイサイト)の売上が伸び悩んでいました。
20代後半から40代向けのいわゆる「お姉系ファッション」が主力商品で、
PCもモバイルも上品で落ち着いたデザインによるサイト作りを行っていたのです。
そこでいかにモバイルの売上を伸ばすかを考えた結果、ケータイを使うのは若者が多いので、モバイルを利用して閲覧するユーザーはPCでの来客層よりも多少若いのではないかと判断しました。
そこからモバイル向けの商品画像を少々派手なデザインにシフトしたらそれが当たり、モバイルの売上が急激に上がったのです。
さらにその客層を掴むためモバイル用に少し若めのテイストの商品を用意した所、また売上が上がりました。
注目すべきはそのECサイトでより詳細に顧客層と購入商品を調べた所、年齢層は同じでも使用している端末の違いで顧客の好みが別れていたという事です。
このECサイトでは、PCユーザーは少し落ち着いた商品を好み、モバイルユーザーは少し派手な商品を好んでいたのです。
デバイスの違いによるユーザー層の違いとは?
このように発信している媒体の違いで同じショップでも来店している客層が違い結果的に好みも違うことがあるのです。
現在はPC・スマホ・ケータイと更に分かれていて、ケータイ利用層は逆に年齢層が高くなっていたりしますので、そのような時代背景も意識し常々しっかりと頭にいれておく必要があります。
また楽天やAmazonといったモールによってもジャンル以前に少しづつ利用層が違ってきます。
そのような媒体やモールといった大きな括りの傾向を認識した上で、売れ筋ランキングや自社での売れ行きからも購買層がある程度把握できるはずです。
ECにおいてはターゲット層が本来目指していた所と違う層になることも充分にありえます。
そのことを常に意識していれば、実際に来店している層と店側が想定している顧客層が大幅に食い違うという事態は基本的に避けられるはずです。
そして来てくれている客層に合わせる形で、そのニーズに合ったショップを展開していくことがEC運営成功への近道ではないでしょうか。
コンサルタント紹介:Hiroshi Yamanaka
ネットショップのユーザビリティや導線の設計を手掛けるデザイナー兼コンサルタント。
最近はUSPの構築など戦略全体から手掛ける事も増えているため、
クライアントの価値観や物事の本質を見極めることを心掛けている。