以下は、ネットショップでよく見かける、ただ商品の特徴やスペックの説明だけをしてあるような商品説明です。
「この化粧水は○○の成分で出来ています。」
「このパソコンはバッテリーが10時間持ちます。」
このように、商品の仕様やカタログに書いてあるようなスペックだけ明記していたり、ただ商品の画像を所狭しとならべているようなショップが多く見受けられます。
しかし、こういったカタログのような形のネットショップが成功するのはとても難しいのです。
今回は、その問題点と商品を魅力的に演出する文章の考え方についてお話していきます。
お客様が商品を選ぶ時の判断基準って?
あなたがどのような商品を取り扱うかにもよりますが、世界であなただけしか取り扱えない商品というのは、ほぼありません。
世の中には同じような商品で溢れかえり、良いものはすぐにマネされてしまいます。
そんな中で、あなたは自分のお店に来て貰い、自分の商品を購入して貰いたいわけです。
しかし、このときの商品の説明が他店と同じような、ただのスペックの羅列と写真だけだったらどうでしょうか?
わざわざあなたのショップで購入しようと思うでしょうか?
似たような商品・サービスを取り扱っているショップはたくさんあるのです。
同じような商品ならば、結局は有名なブランド力のあるお店、もしくは一番安いお店で買うのではないでしょうか?
これは商品を購入する時のお客様の判断基準が「ショップの名前か?」「値段か?」だけになっているからです。
しかし、これ以外の判断基準を添える事が出来れば、お客様に商品を選んで頂くための差別化が可能になります。
ただ残念ながら、ほとんどの現場では上記以外の判断基準を添える事をしていない為、安く売ることでしか、お客様に選んで貰う判断基準を提示出来ておりません。
当然、それだと利益は出ませんし、ライバルも同じように安売りを仕掛けてきます。
そうなると価格競争に巻き込まれて、どんどん安くせざるを得なくなり、最終的には潰れてしまうショップも存在するのです。
知名度や価格競争から抜け出すためには?
もし、あなたがすでにショップを運営して何年も経っていて十分なブランド力、知名度を築き上げている、
もしくは、大幅な値下げをしてもしばらくは余裕でやっていけるくらいの潤沢な資金があるのであれば、価格で勝負するような戦略も有りかもしれません。
しかし、実際にはそうではないことが多いはずです。
では、このような無理な価格競争を回避するにはどうしたら良いでしょうか?
それは、お客様にあなたの商品を選んでもらうための判断基準を提示することです。
その判断基準の一つに「商品を魅力的に演出する文書の書き方」があります。
具体的には、商品の特徴やスペックと一緒に「その商品を買うことで得られるメリット」を書くことが必要なのです。
冒頭の例で言えば、
この化粧水は○○という成分が使われています。だからお肌への浸透率が高くマイナス3歳若返ります。
このパソコンはバッテリーが10時間もちます。だから一日中外出先でも仕事に問題ありません。
このように商品の特徴に、そこから生まれるメリットを説明することで、お客様に商品購入後に得られる価値を提示することができるのです。
なお、お客様が得られる価値のことを「ベネフィット」と言いますが、このベネフィットを明確にすることが、ライバルに差をつけあなたの商品を選んでもらえるようになる秘訣です。
人は商品自体にお金を払っているでのはない
お客様に選んで貰うために「人は商品ではなく、商品を買うことで得られる結果に対してお金を払っている」ということを、まずは理解していなくてはいけません。
例えば美容院に行くとします。
お客様は美容院へ何のために行くと思いますか?
多くの人は「髪を切りに行く」と答えると思います。
しかし、ただ髪を切りに行くだけなら1,000円カットのお店でもいいわけですし、自分でソーイングセットを買ってきて切る方法もあるはずです。
では、なぜそれをしないのでしょう?
そこには「髪を切る」以外の感情や欲求があるからです。
例えば、異性にモテたいから、かもしれませんね。
もしくは、他人に褒めてもらいたいからとか、仕事が出来る奴だと思われたいからかもしれません。
そこには、人それぞれの欲求があり、求めている結果があります。
それらの感情に訴求して、この商品・サービスを買うことでその欲求を満たすことが出来ますよ!という風に伝える事で商品の価値が上がるのです。
つまり、商品を買うことで自分が抱えている問題や不安などを解決してくれる、そんな未来の自分を想像できた時に人はその商品を買いたいと思うのではないでしょうか。
商品を売るという視点から「未来像を売る」という視点にシフトする
商品を売るという視点から「未来像を売る」という視点にシフトすることによって、お客様に値段以外の価値観を提供することができるようになります。
お客様が何に対して価値を感じるか・・・それは人にとよりさまざまです。
綺麗になりたい、モテたい。という人も居れば、
子供が居るから手間の掛からない髪型に価値を感じる人も居るかもしれません。
そういった潜在的な欲求や求めている未来像を明確にイメージさせることの出来る商品の説明があれば、価格だけで判断されることなく価値を感じて貰った分だけ、ライバルよりも高い値段で売ることも可能になるのです。
あなたの理想的なお客様は誰ですか?
ベネフィットはペルソナ(理想的なお客様像)により響く内容が異なってきますので、ペルソナの設定は非常に重要になります。
その為には、必ずあなたの理想的なお客様が誰か?を明確にしてください。
お客様が何を求めているかを、常に考えリサーチします。
同じような業種やライバルが、どのような訴求で売っているかを調べるのもいいでしょう。
あなた自身も気が付いていない自分の商品の魅力・価値を見つける方法
既存のお客様に直接聞くことも良いでしょう。
なぜなら、一度でも商品を買ってくれたお客様というのは、何かしらあなたの商品に価値を感じてくれた人だからです。
何に問題を感じてなぜ買ってくれたのか?
商品を買うことでなにが変わったか?
商品を販売したことがないのであれば、商品を買ってくれそうな見込み客候補の方にヒアリングしてみるも良いでしょう。
今、何に悩んでいてどんなことを解決したいか?
このようにお客様の視点に立って考えたり聞くことで、商品を魅力的に演出するためのメッセージやお客様に価値を感じてもらえるような商品説明文を書けるようになるのです。
販売方法ではなくニーズから考える
どう商品を売るか?
ライバルはいくらで売っているのか?
このように、販売方法を先に考える方が非常に多いです。
お客様は何を求めているのか?
というニーズの部分が全く無視されているケースがとても多いです。
考えて欲しいのですが、リアルであろうとネットであろうと商品を買うお客様は生身の人間です。
どんな事を求めているのか?
どんな結果だとお客様の未来が良くなるのか?
これらを真剣に考える必要があるのです。
このようにお客様の気持ちや潜在的な欲求を考えるようになれば、あなたは価格競争に巻き込まれることなくショップを運営することができるようになります。
是非、お客様が何を求めどんな結果になりたいと思っているのか?
というビジネスの原点に立ち返り、顧客ファーストでネットショップの運営に取り組んでみてください。
コンサルタント紹介:Hiroshi Yamanaka
ネットショップのユーザビリティや導線の設計を手掛けるデザイナー兼コンサルタント。
最近はUSPの構築など戦略全体から手掛ける事も増えているため、
クライアントの価値観や物事の本質を見極めることを心掛けている。