顧客行動を可視化する「カスタマージャーニーマップ」の作成ステップと活用法【後編】

カスタマージャーニーマップの作成手順

前回の記事では、カスタマージャーニーマップの基礎的な説明をさせてもらいました。

 

お客様の行動とそのときの思考や感情を見えるようにマップ化することで、複雑な情報をシンプルに理解することが出来るようになります。

 

今回はカスタマージャーニーマップを実際に作成するステップの紹介と、それをどうマーケティングに活かしていくか?というお話をさせて頂きます。

 

カスタマージャーニーマップの作成手順

STEP1:お客様の行動の収集

まずはお客様の行動の収集から始めます。

お客様も決して自分の行動全てを把握しているわけではありません。

少しずつ思い出してもらいながらそれらを付箋に書き出します。

 

ある程度情報が集まったところでお客様の目的に応じてグループ分けします。

グループ分けすることでそのお客様の行動パターンが見えてきます。

 

STEP2:感じたことやそのとき思ったことの収集

お客様の行動の整理と体系化がある程度できるたら、次はお客様が何を思い、感じたのか?

これらの情報を集め付箋に貼っていきます。

 

行動をただ調べるだけでなく、何を考えていたのか?感じたのか?

という情報を集めることで、よりお客様の体験に共感を深めることが出来ます。

共感を深めることで、より具体的なアイディアが出しやすくなります。

 

STEP3:集めた情報を元にディスカッションをする

行動と感じていること考えていることを収集することで、お客様の抱えている課題や問題などが見えるようになりました。

 

しかし、その時点ではまだなにが優先すべきか重要度のレベルがバラバラです。

 

そこでこのステップでは優先の重要度のレベルについてディスカッションします。

これを行うことで全体をさらに整理することができます。

 

STEP4:行動と媒体のマップ化

カスタマージャーニーマップは、お客様の行動を媒体をシンプルに見えるようにして理解できる点が特徴です。

お客様の取った行動などカテゴリ分けしていきます。

 

「行動」

「媒体」

「思考」

「感情」

「課題」

 

このようなカテゴリで並べていき、次に集めた情報を時系列ごとに左から右に並べていきます。

 

行動に関しては、例えば切符を買う電車に乗車するという一方通行の行動なら「切符を買う→電車に乗る」というように「→」を。

 

サイトを見る、店舗で見る、友人に聞くなど行動に明確な終わりがないようなものには、それぞれを円状の矢印で結びます。

 

そして目的のためにある程度選択肢があったり、わき道に逸れる行動に関しては波線の矢印で表します。

 

店舗に到着する→洋服を試着する→購入する

 

このような行動の矢印を波上にするのです。

 

STEP5:課題の抽出

ここまでのステップでお客様の行動と思考や感情の情報を集め、それを分かりやすくマップ化することができました。

 

最後にそれらを俯瞰してみることで、その人の持つコアな課題や、全体の共通した問題や課題を見つけることができると思います。

 

これまで点と点でしか見えてこなかったお客様の行動を、カスタマージャーニーマップを使い顧客の体験を可視化することで「線」として捉えることが出来ます。

これによりサービス提供側の課題や改善点を浮き彫りにすることが出来ます。

 

マップ化することでシンプルに把握すえることも可能ですし、もし複数人のスタッフと運営しているショップであれば課題の共有にも繋がります。

 

開発、販促、サポートなど部署が分かれている場合、どうしても自分たちの立ち位置からの思考になってしまいがちです。

 

マップ化したことで明らかになった課題に対し、同じベクトルで施策を立案もしやすくなるのです。

 

カスタマージャーニーマップをマーケティングにどう活かすか?

カスタマージャーニーマップによりお客様の行動や思考のパターンを可視化し、そのお客様が抱えている課題を明らかにすることができました。

では、今度はそれをどうマーケティングに活かせばよいのでしょうか?

 

全体の共通した課題に適した商品を開発・提供する

一つは全体に共通する課題に対する商品を用意する、ということです。

 

例えば、

「足のサイズの大きい女性が自分に合うサイズで、しかも可愛いデザインの靴が欲しい」ということが全体で抱えていた課題であったと明らかになります。

 

それならば、そのような人が集まる場所やメディアで販促活動を行う。

そのような人が欲しがるサイズとデザインの商品を用意する、など一連の流れを立案することが立案することができるようになります。

 

顧客体験のある一部分にフォーカスする

お客様の体験の中でも特に問題や悩みの強いコアな部分がある場合があります。

その部分に対して自社の商品が解決できないか?という考え方です。

 

お子様のおやつを毎日作るのが大変。という課題があった場合、「パンを焼くホームベーカリー」を「ケーキやおやつを簡単に作れるホームベーカリー」

として売り出してみてはいかがでしょうか?

 

このようにある問題点に対して新たな切り口から商品を提案できるのも、思考や感情を可視化したからこそ思いつきやすくなるのです。

 

自分たちの「エクスペリエンス向上」に

エクスペリエンスとは「体験」もしくは「これまでになかった体験」という意味です。

 

アパレルショップ運営者であれば自身を、「服を提供している」というイメージを持っているかもしれません。

しかしカスタマージャーニーマップでお客様の行動や思考を体験することで、まったく別の発想に変わります。

 

「アパレルを通してこれまでの生活を変える体験を提供している」というイメージだとどうでしょうか?

今までとは全く別の発想で商品の開発や販促のアイディアが生まれるのではないでしょうか?

 

マーケティングとはお客様視点、顧客ファーストから生まれるものです。

しかし実際には販売者側の思考が抜け出せずなかなかこの視点を持つことはできません。

 

そこでカスタマージャーニーマップで顧客体験をすることで、よりお客様の視点に立ったマーケティング活動や施策を打ち出すことが出来るようになるのです。

あなたも一度カスタマージャーニーマップを作成してみては如何でしょうか?

 

山中洋史

コンサルタント紹介:Hiroshi Yamanaka

ネットショップのユーザビリティや導線の設計を手掛けるデザイナー兼コンサルタント。
最近はUSPの構築など戦略全体から手掛ける事も増えているため、
クライアントの価値観や物事の本質を見極めることを心掛けている。

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