前回の記事でカスタマーサポートでサービスの充実化をすることで、他のショップとの差別化を図るお話をしました。
顔の見えないネットショップだからこそ、電話対応による直接顧客と話せる場を設けることで、より深くお客様と対話ができるようになるのです。
直接話す事で、より詳細なお客様の考えや情報を得ることが出来ます。
メールやレビューだけでは、見えない本音や問題点などを収集することができます。
そして、さらに深堀して購入に至るまでの経緯をより明確にする方法があります。
お客様が商品購入に至るまでに起こした行動や考えを詳細に追うことで、顧客のサービス体験のプロセスを可視化をすることです。
このプロセスの可視可のことを「カスタマージャーニーマップ」と呼びます。
本テーマは2部構成で、その基本と活用法を紹介していきます。
顧客の行動を可視化するカスタマージャーニーマップとは?
カスタマージャーニーマップとはお客様の行動を旅に見た立てて、そのプロセスを可視化することです。
どんな問題があり、どんな目標があり、それを達成させるためにどんな手段を使ったか?
また、そこで生じる思考や感情はどんなものだったのか?
このようなことを図に描いてマップに落とし込むことで、お客様の購入したものや使ったサービスが見えるようになります。
大きな紙を用意し、行動の項目や思考や感情に項目を分け、実際に起こした行動や思考を、大き目の付箋や紙に書き張っていきます。
絵や図を描いても良いです。
こうすることで流入経路やお客様の行動、思考などを全体的に把握することが可能になるのです。
カスタマージャーニーマップのメリット
①データをシンプルに把握できる
カスタマージャーニーマップはお客様の「目的」「行動」「媒体」「思考や感情」など、様々な要因を描きだします。
頭の中だけで考えようとすると、これら全てを把握するのは難しいですが、ビジュアル化(マップ化)するこで複雑に感じるデータをシンプルに直感的に理解できるようになるのです。
②施策やマーケティングプランが立てやすくなる
お客様の行動や感情をシンプルに見えるようにすることで、施策の立案やマーケティング活動が考えやすくなります。
特に「行動と媒体」が一目で見えるのでそれを別の案と置き換えたり、というアイディアも出やすくなります。
③視野を広げることができる
施策やマーケティング活動を行うとき、どうしてもwebや会議の場だけでの意見や考えに捕らわれがちです。
しかし、実際のお客様の行動や感情にフォーカスすることで、これまでに思いもよらなかったような視点での考え方が出来るようになります。
webや机上の空論にとどまらない、新しい発想や打開策を見つけるきっかけにもなるのです。
カスタマージャーニーマップの簡単な概要
では実際にカスタマージャーニーマップとは、どのようなものなのでしょうか?
カスタマージャーニーマップで取り上げる項目に、特に決まりはありません。
また、その範囲にも決まりがなくあいまいですので、どこからどこまでの範囲のどの項目をマップ化するのか?
まずは、それらを定義付ける必要があります。
例1:日本から韓国に旅行に行くお客様のジャーニーマップ
韓国旅行で、どこに遊びに行くかを決めるための行動とその思考を挙げていきます。
実際にはもっと多くの項目が必要ですが、スペースの関係上大幅に簡略化していますのでご了承ください。
「韓国の観光地や遊ぶ場所の候補を挙げる」
・サイトで調べる(韓国にはどんな観光スポットがあるのかな?)
・本で調べる(韓国特集の本なら効率的に調べられそう)
・韓国に行ったことのある友人に聞く(やっぱり実際に行った人に聞かないと)
「遊びに行く候補を絞る」
・宿泊施設の近くか?(遠いと移動が大変)
・どんなサービスが受けられるのか?(シャワーがないとかだったら最悪)
・日本語は通じるのか?(韓国語なんていまから勉強しても間に合わない!)
「現地に行く」
・飛行機で行き、空港から現地まではバスを利用(これが一番利用者が多い方法だと聞いたから)
・あらかじめ購入したガイドブックで調べながら行動(迷わないよう地図が見やすい物を用意)
・分からないことは○○のサイトや案内所で聞いた(日本語の分かる人に聞かないと怖い)
「評価」
・食べ物は美味しかったか?(辛いもの好きにはとても満足)
・ガイドブックは分かりやすかったか?(地図は見やすかったけどお店の位置が分かりにくかった)
・ホテルは清潔だったか?(サイトの写真より暗いイメージを受けた)
韓国旅行の行動と、そのときに感じた思考のジャーニーマップです。
次に商品購入に置き換えてみましょう。
例2:子供の参加日に着ていく洋服を探している30代前半女性のジャーニーマップ
「参観日などにふさわしい洋服の販売店を調べる」
・サイトで調べる(どんな服を着ていけばいいの?)
・子供の学校での知り合いの友人に聞いてみる(お姉ちゃんがいるから参観日に行ったことある人に聞きたい)
・新聞の折込チラシを見る(実際に店舗で見れたほうが良いような気がする)
「お店を絞り込む」
・値段はいくらくらいか?(予算が○○円までなので)
・店舗で買うか?ネットで買うか?(ネットのほうが安いけど、デザインやサイズが違ったらどうしよう?)
・どんなデザイン、ブランドの服を扱っているのか?(周りのお母さんの目が気になる)
「購入する」
・試着する(実際に来てみないとわからない)
・現物を手にとってみる(少し暑い時期なので蒸れとか少ない服がよい)
・店員や家族の客観的な意見を聞いてみる(客観的に見て変じゃないか?)
「評価」
・値段とデザイン性のバランス(少し高かったが子供も気に入ってくれて結果的に良かった)
・着心地(少し動きにくいが仕方ないかな)
・店員の接客内容(最初のイメージとは別の物を薦めてきたが実際に来てみたらしっくりきた。感謝!)
例としては上記のようなものです。
実際には、もっと具体的なサイト名や行動、思考や感情の波をマップ化していきます。
イメージとしてはこのような感じのものを描き込んでいくことで、行動とその心理や思考を把握することが出来るようなるのが目的です。
今回はカスタマージャーニーマップの基礎的なお話をしました。
次回はカスタマージャーニーマップをどのように施策に使っていけばいいか?という活用方法のお話をさせてもらいます。
後編記事:顧客行動を可視化する「カスタマージャーニーマップ」の作成ステップと活用法【後編】
コンサルタント紹介:Hiroshi Yamanaka
ネットショップのユーザビリティや導線の設計を手掛けるデザイナー兼コンサルタント。
最近はUSPの構築など戦略全体から手掛ける事も増えているため、
クライアントの価値観や物事の本質を見極めることを心掛けている。
ネットショップの売上改善のご相談を3社限定無料で承っております
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