個人や小さな会社が運営するネットショップの場合、カスタマーサポートを重視しているケースは極めて稀です。
少人数でネットショップを運営するには、①商品仕入→②ショップ掲載→③販売→④発送、という必要最低限の業務だけで手一杯になり、充実したカスタマーサポートを提供することは困難です。
しかし、フラットなネットの世界で勝負するには、競合する他のネットショップに負けないカスタマーサポートを提供しなければ、継続的にお客様から支持され続けるショップ運営は困難です。
今回の記事では、他の競合ネットショップ(主に独自ショップ型)との差別化ポイントを中心に、小規模ネットショップのカスタマーサポートについて考えてみます。
カスタマーサポートの仕事内容
カスタマーサポートの仕事内容は、顧客からのメールや電話の対応がメインになります。
カスタマーサポート=クレーム対応というイメージがあるかもしれませんが、実際の業務の中でクレーム処理の占める割合は、せいぜい2割程度で、ネットショップには様々なお問い合わせが寄せられます。
事項以降に紹介する差別化ポイントを意識して、より良いカスタマーサポートを目指してください。
差別化ポイント①:メールだけでなく電話サポートを提供する
小規模なネットショップの大半が、メールによるカスタマーサポートだけを提供しています。
メールは24時間送ることができる便利なツールではありますが、即時性に欠けるというデメリットがあります。
すぐに疑問を解消して商品を購入したいお客様は、電話サポートを提供している競合ショップがあれば、そちらを選ぶでしょう。
最近では、03番号(東京の固定電話)を公開して携帯電話に転送して受信できるサービスが月額1,000円程度から提供されていますので、ぜひ検討してみてください。
差別化ポイント②:お客様都合の返品交換に柔軟に対応する
ほぼ全てのネットショップが、販売側の都合(発送ミスや商品の瑕疵など)による返品交換は受け付けていますが、お客様都合の返品交換は受け付けていません。
実際に商品を手に取って選ぶことのできないネットショップでは、気軽に返品交換できることは大きなアピールポイントになります。
実際に返品交換されるのは全体の5~10%程度ですので、その部分に掛かるコストを予め価格転嫁した上で、無料で返品交換サービスを提供すると良いでしょう。
差別化ポイント③:アフターフォローのメールを配信する
小規模なネットショップの大半が、「売ったら売りっぱなし」という非常に勿体ないことをしています。
一度商品を購入してくれたお客様は、リピーターになってくれるかもしれない大切な存在です。
お客様が購入した商品の特性に合致したアフターフォローメールを配信することで、お客様との信頼関係を醸成することができれば、次回以降の購入に結びつく可能性が高くなります。
たとえば、革製のバッグや財布などを販売するショップであれば、購入から数カ月後に「お手入れ方法」に関するアフターフォローメールを配信すれば、お客様に喜ばれるでしょう。
手入れに必要なグッズの購入に結びつく可能性もあります。電化製品を販売するショップであれば、半年に1度ほどメールを送ることで、修理対応など有償サービスの販売に繋がることもあります。
ご自身のネットショップで販売する商品の特性をよく考え、どんなアフターフォローが喜ばれるかを見極めることで、お客様に喜ばれながら、継続的に商品購入をしてもらえる関係を築くことができるのです。
差別化ポイント④:顧客の声を商品開発・商品買付に活かす
ネットショップを運営する中で、最も顧客の声を聴く機会があるのが、カスタマーサポートの業務です。
サポート業務の中でお客様から頂いた声には、あなたのネットショップをより良く改善するためのアイディアが詰まっています。
自社商品を販売している場合は商品開発に活かすことができますし、他社製品を販売している場合であれば、商品買付に反映させることもできるでしょう。
お客様の声に耳を傾け、実際の商品やサービスに取り入れることで、あなたのネットショップは日々改善され、より良いショップになっていきます。
カスタマーサポートの外注化も要検討
個人もしくは小さな会社で運営するネットショップの場合、現状の人員体制ではカスタマーサポートに新たに人を割くことが困難な場合も少なくないでしょう。
そんな時には、ぜひカスタマーサポートの外注を検討してみてください。世の中には、企業のコールセンター等での勤務経験がある専業主婦が多くいます。
様々な都合で自宅を留守にすることができない彼女たちに、自宅でできる仕事として、ネットショップのカスタマーサポートを外注してみてはいかがでしょうか?
パソコン1台、ネットショップの電話が転送される携帯電話1台を準備して提供すれば、基本的なカスタマーサポートの業務は充分に成り立ちます。
電話対応:1回○○円、メール対応:1回○○円、商品発送:1件○○円、といった具合で完全歩合制で契約しても良いですし、運営が軌道に乗ったら、9時~17時などの時間契約でもよいでしょう。
オフィスに出社してもらう場合と比較して、半額程度のコストで済む場合がほとんどですので、ぜひ検討してみてください。
コンサルタント紹介:Hiroshi Yamanaka
ネットショップのユーザビリティや導線の設計を手掛けるデザイナー兼コンサルタント。
最近はUSPの構築など戦略全体から手掛ける事も増えているため、
クライアントの価値観や物事の本質を見極めることを心掛けている。